デイケア初日のこと。
自己紹介なんて聞いてないよ!と
心の中で叫んだ、あの瞬間。
今回は、その後のお話です。
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「みきです。統合しっちょうちょです。よろしくお願いします」
……ヤバい。
噛んだ。
よりによって、一番大事なところで噛んだ!
統合失調症、ちゃんと言えなかった。
冷や汗、たらたら。
心臓、バクバク。
なんなら、めまいまでしてくる。
世界は今、完全にわたしを見放した——
……そう思った、そのとき。
「よろしくおねがいしまーす!」
わたしの挨拶なんか、
軽やかに吹っ飛ばすような明るい声。
「服、かわいいね」って言ってくれた、
あの子だ!
その声に、どれだけ救われたか。
わたしの噛んだ言葉を気にする人なんて、
そこには誰もいなかった。
みんな、自然に拍手してくれてた。
まるで、わたしが「ここにいていいよ」と
言ってもらえたみたいだった。
……デイケア、始まってまだ10分(笑)
自己紹介という巨大な壁を、
なんとかよじのぼったはいいけれど、
すでにふらっふら。
体感、1時間半ぐらい経った気がするのに、
まだ時計の針はほとんど進んでなかった。
たぶん今日一日ぶんの運、いや、
一生分の運をここで使い果たしたかもしれない。
でも、そんなことを思う間もなく、
あれよあれよという間に、
スタッフさんの手で班分けされ、
気づけば模造紙に紙のお花を貼っていた。
何の柄だったか、
どんな色だったか、
正直ぜんぜん覚えていない。
ただ、
のりが手についた感触と、
隣から聞こえる誰かの笑い声と、
自分が「ここにいる」ことだけは、
ちゃんと記録されていた。
デイケアの初日は、たった半日。
気づけば、送迎のバスが玄関前に待っていた。
あっという間だったような、
ものすごく長い時間を生き延びたような、
不思議な感覚。
玄関で靴をはいていると、ふと外に目がいく。
笑ってくれた、あの女の子がいた。
帰りはお母さんと一緒らしく、
車のそばでわたしのほうを向いていた。
そして、手を振ってくれた。
にこにこ笑って、また、あの時みたいに。
わたしも、ちいさく手を振り返す。
今度は、あの子の名前、聞けるかな。
そんな思いが胸にふくらんで、
ちょっと涙が出そうになった。
これが、わたしの第一歩。
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