体験記① みきの場合


20年前、診断を受けた時期から書き始めていたブログを再録していきます。
ゆっくりゆっくりステップを踏んで、統合失調症とつきあってきたわたしの歴史です。
のんびり書いていきますのでお付き合いいただければ幸いです。

みき

***



ひきこもっていた日々から、5年ぶりの受診。軽い興奮と極度の緊張で、
意味なくポロポロ泣きながら受けた
カウンセリングの最中のこと。
さらりと告げられた先生の言葉は、
実に強烈だった。


「ウツや性格的なものじゃなくて、
統合失調症かなあ…
おくすり、変えてみましょうか?」


え? は? えええええ!?!?!?
いやいやいやいや。ちょっと待とうか、先生。


クスリかえるのはいいけど…。
それよりもその前。ワンモアプリーズ。
…ウツじゃなくて? 

予想外の事態に頭はフリーズしつつも、
めっっちゃくちゃ!気になるんですが! 

とうごうしっちょうしょう って、
あの幻覚見えたりする病気? 

…ってか私。
ウツか社会不安障害じゃなかったのか? 
前に受診したときは、
そう言われたはずなんだけど…。

統合失調症? 

固まった私の前で、先生の話は続いていたが、
正直ろくすっぽ耳に入ってこなかった。
「大丈夫? 
なにか今日言っておきたいことはある?」

私の様子に気づいたらしい先生が
(おそらく)説明を止めて聞いてくれたけど、
フリーズ中は、思考も言葉も回らない。

受診の前に言おうとしていたことも
全部吹っ飛んでしまって何も思いつかない。

「あ~…と、いいえ」と答えるのが精一杯だった。なぜか後ろめたくて目も合わせられないし。



おかしな話だが、
私は調子がすっごく良いときだけ
病院にいくことができる。

調子が悪いと、
対人恐怖と不安が強くなってしまって
自分の部屋~テリトリー~から
出られなくなってしまうからだ。

出られずに、あーでもない、こうでもないと
ウダウダ考えてしまった結果が、
8年間のひきこもりと言っても
過言ではないほど、どーしようもなく
ウダウダな性格なのである。

そのうえ、本来ぐーたらだったりするので、
やりたくないことはどんどん後回し、
優柔不断にぐるぐると考えるものだから、

「さあ出かけよう、病院にいこう」

と決めるまでに、1日2日、
実行に移すまでにヘタすると1週間から
1ヶ月という時間がかかってしまう。

そんな優柔不断体質な私が今、
こうして受診できているのは、
私は快方に向かっている(ハズ)という
思い込みがあったからなのだ。

少しずつ寝続ける時間が減り、
外出も以前よりはラクに出られるように
なっている。

自分が元気になってきていて、
そろそろバイトくらいなら出ても
大丈夫なんじゃないか…なんて
思いはじめてすらいたのである。

それなのに。
私の「元気な姿」を見て、「統合失調症の可能性」という診断がくだってしまった。

そのことにゾッとした。

続く


今日の少ない会話と私の行動の中に、
それを窺わせる何かがあったのだろう。

先生の目にはそれが見えていたんだろうか。
先生はそんな嘘をついたり
テキトウに病名を口に出すような人ではない。

そう思える位には、
わたしは先生を信頼している。
短めのフリーズから開放されると、
いろいろなことが頭を駆け巡る。

次第に、凄い恐怖がおなかの底から湧いてきた。

私、自分で気づかないだけで、
いろいろヘンなことやらかしてるんだろうか。

ぐるぐる考えても答えが出るはずもない。
わかってはいるが、考えずにいられなかった。

誤魔化すのはやめよう。

私は、私の中にあるネットなどでよく聞く
「統合失調症」というものと、
目の前につきつけられた「統合失調症」が
同じものであると認めたくないのだ。

今まで意識もしてこなかったが、
私の中には精神障害に対して、
少なからず偏見があった(ある)のだと思う。

私が? 誤診じゃないの?

そんな気持ちが今も渦巻いている。
結局、心の中の衝撃や疑問は
何一つ出せないまま、
くすりの作用と複作用の説明をうけ、
イヤな電車に乗って家路についた。


どうしよう。
どうすればいいんだろう。
途方にくれるって、こんな時を言うんだろうな。

なんてアホな現実逃避をしつつ、
渡された薬を出してみる。

おくすり手帳の説明には、
不安をやわらげるお薬です、と書いてある。


家でぐったりしつつ考えた結果。

言われた病名は信じられないけど、
先生を信頼してみることにした。

もし、間違いだったら、
あの先生はちゃんと言ってくれると思う。

間違いでなかったら、
このクスリで私はよくなるはずだ。
うん、悪いことはない。
もやもやするけど、
全部白と黒に分けてしまうことはない。

今すぐ、認めたくないことを認めることはない。

この疑問もまた次の受診日に
伝えてみればいいだけだ。

生き方はAll or Nothingだけでないと
気づいたのは、長いひきこもり期間で得た
唯一私の糧なのだから、
今活用しないでどうする。

不信がつのってどうしようもなくなったら、
残念だが止めればいい。
それまでは先生をちゃんと信じよう。


明日から、患者生活か~。
新米患者。ルーキー患者。
まずは統合失調症をぐぐってみようかな。
統合失調症の知識なんて
名前と漠然としたイメージしか持ってないしね。



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処方されたのは、




・エビリファイ 6mg
・リーゼ 5mg

の二種類。


「ネットを見ると副作用がいろいろ書いてあるけど、びっくりしないでね。合わない時はいつでも電話ください」という先生のお言葉付きである。

リーゼは、ウツだと思っていた時によく飲んだのでボーっとするクスリだなというのはすぐわかった。

先生いわく「びっくり」しそうなのは、初お目見えのエビリファイだろう。
さっそくネットで調べて見る。

いや、だって…ねえ?(笑)
あんな風に言われたら、調べずにはいられない(笑)



調べてわかったのは、エビリファイは

・新薬
・抗精神病薬。メジャートランキライザーの一種
・脳内のセロトニンとドーパニンに対して働く
・躁鬱にも処方される
ということ。

副作用は…
(おくすり110より引用抜粋)

・ 高血糖、糖尿病性昏睡..異常にのどが渇く、多飲、多尿、食欲亢進、多食、脱力感、もうろう、意識がうすれる。
・悪性症候群(Syndrome malin)..急激な体温上昇、筋肉のこわばり、体の硬直、発汗、ふるえ、意識がはっきりしない。
・遅発性ジスキネジア..頻回なまばたき、口の周辺がピクピクけいれん、口をすぼめる、口をモグモグさせる、舌のふるえ。
・麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
・アナフィラキシー様症状..じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、息苦しい(ゼーゼー)。
・横紋筋融解症..手足のしびれ・けいれん、手足に力が入らない、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
・ けいれん..めまい、頭痛、ふるえ、手足のしびれ感、筋肉のぴくつき、意識低下、全身けいれん。

まだあったけど、書ききれないので省略。



脳に働きかけるクスリだけあって、
なかなかハゲシイっすね…。


先生が注意を促した意味がよくわかった。
これ予備知識なしに見たら、確実に私、不安になってビビるもんなあ(笑)

もちろん、コレ全部出るわけじゃないだろうし、全然でない可能性だってある。

くすりに対する不安がないわけじゃないけど、私は治すって決めている。

毎日2錠。たったそれだけだもの。
それで元気になれるんなら儲けものだと思わなきゃ。

くすりが体に合いますように。


投薬をはじめて10日ほど。

さて。くすりを飲んでどうかというと…


親も呆れるほどに異常に元気です(笑)


そんな即効性のくすりじゃないはずなんだけどなあ。プラシーボ効果なのかな?

なんといっても、イヤな不安がぐるぐるしないのだ。ぼーっと安心できる時間が増えるってすごく嬉しい。

人の視線が気にならないから、なにかしようと思ってから行動に移すまでの時間が(わたし的に)驚異的に短くなったし、ほとんど気持ちと体のタイムラグがなくなってきてる気もする。

まあ、さすがに人と接触したり、苦手なことをしようとすると心臓と胃がギュッとなるけど…。

それでも、今までのくら~いグルグル状態を考えたら、嘘みたいな調子の良さだ。
「もしかして躁かしら」と疑ってしまうくらい。(←ネガティブ笑) 

たったくすり2粒でこんなのってアリなの?!
効きが良すぎて怖いやら嬉しいやらでパニック起こしそう(笑)

と言うか…人の気持ちってこんな簡単におくすりで変わっちゃうんだなあ…


副作用はちょこちょこ出てしまってるみたいで、

・寝つきは良いが不眠。1~2時間ですぐ目が覚めてしまう。
・手指に力が入りにくい。
・そわそわというか焦りが出て、じっと座っていられない。

てなところ。
頓服のリーゼの効き目はまったくなし。
すこ~しボーっとするかな?くらいでそわそわは無くならないし、眠れない。

これがちょっと辛いかな。

頭は冴えてしまってるもので、体がついてこれなくて腰やら足首やらが悲鳴上げてるけど、自分の意思で動いてるわけじゃないから、いくら足腰痛くても止められないんだよね、これが。

8年もほぼ寝たきりヒッキーしてたんだから、筋力なくなってて当たり前っちゃ当たり前なんだけども。

立ち上がるのにかなり痛い腰と、足首はなんとかしなきゃなあ。自業自得とはいえ、痛いものは痛い。当分サロンパス臭とオトモダチになるしかないか。


とにかく、躁でも何でも、動けるうちにできることをやってしまおう。そのうち体に無理が来て、パタンと寝込みそうな予感がもするけど…(笑)


副作用のウロウロ歩きが止まらない。



ひっきーだった8年間、ほとんど座るか寝るかだったため、寝たきり老人の筋力とどっこいどっこいまで落ち込んでいるのに、落ち着かなくてついウロウロと立ち動いてしまう。

30分も散歩すればHPは限りなく0に近づく程度の体力なのに、本当にじっとしていられない。


意味もないのにウロウロ、うろうろ。


特にキツイのは腰痛と足首で、体を起こした時に激痛が走るので、寝床から起き上がるのに10分くらいかかってしまう。正座まではもっていけるんだけど、その後がキッツイ!

…なんか80、90の老人みたいなこと書いてるけど、いちおー真面目です。たぶん、元気な80代のご老人と徒競走したら負ける気がする(笑)

やっぱり体重が重すぎるのかなあ。軽い運動でもしようかな。足腰に負担がかからない運動ってなんだろう。水泳とか?


それでも頭もほうはすっきりくっきり元気で、あれをやろうこれをやらなきゃ、と次から次へとやりたいことが出てくる。


全然やる気がでなかったのが嘘のようだ…。


おかげで、ずっと気になっていても、行くことができなかった歯医者と皮膚科の受診があっさりクリア。私の2年はなんだったの~(2年前から行きたくていけていなかった笑)

被害妄想?というのか、ただなんとなく人が怖い、必要以上に近寄られたり、逆に無意味にスッと離れられたりすると逃げ出したくなる衝動も、今のところ弱くなっている…気がする。

クスリの量を少し減らしたら、ウロウロ歩きと落ち着かないと、眠れないのも減るかなあ。

でもな~。こういうクスリって自分で勝手に減らすと叱られそう。次の受診日に先生に聞いて見るのが賢明だろうか。

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